会議が終わってから始まる会議 ——


“カンナミ係長”が象徴する、日本的組織の「経験依存型リーダー」

どの職場でも見られる光景があります。

会議は正式に終わったはずなのに、
なぜか誰も席を立たず、そのまま延長戦のような雑談が始まる。

そしてその中心には——
フィクションの象徴キャラ カンナミ係長 がいる。

もちろん実在の人物ではありません。
しかし日本の多くの職場で繰り返し見られる
「典型的な構造」を表現するための象徴として登場します。

■ カンナミ係長 —— 経験と人脈が力の源泉となる世界の住人

カンナミ係長は、現場上がりのベテラン管理職。
彼にとってのリーダーシップとは、

  • 長年の経験
  • 社内の人脈
  • どこに頼めば物事が動くかという暗黙知

こうした“現場で積み上げてきた力”によって成立しています。

だから会議でも、
ファシリテーションではなく
「自分が中心で語ること」
がリーダーの務めだと信じている。

そして会議後——
彼はさらに饒舌になります。

「これはあの管理職がこう言っていて…」
「上はこういう雰囲気なんだよね」

と、知っている情報を“伝える場”として延長戦が始まるのです。

■ なぜ本音は公式の場では出ず、延長戦に流れ込むのか

公式の会議には、

  • 立場
  • 責任
  • 形式
  • 上下関係

といった暗黙の重さがあり、
本音や未整理の情報が出てきにくい。

一方で、
カンナミ係長にとっては会議後の延長戦こそ
「情報を伝える時間」 です。

彼が持つ社内情報、経験談、
誰がどう動くかといった知識が、
一気に場へ放たれます。

■ 情報が増えても意思決定が良くならない理由

—— 思考の“事前固定化”が起きる

カンナミ係長の語りには、量としての情報が多く含まれます。
しかし問題は量ではなく、
思考の枠組みが事前に固定されてしまうこと

● 中間管理職の“想定される考え”が、既定路線のように刷り込まれる

「実は管理職層ではこういう流れで…」
「上はこういう雰囲気で動いてるよ」

こうした言葉は、
まだ正式に決まっていないことでも
“もう方向性は決まっている” という空気を生み出す。

● 過去の経験が未来の選択肢を奪う

「以前もうまくいかなかった」
「前例がないから難しい」

過去の出来事が“判断の枠”となり、
未来への可能性が狭くなる。

● 結果、議論は未来ではなく「踏襲」へ傾いていく

まだ何も決まっていない段階なのに、
参加者の思考は無意識に既定路線へ誘導される。

■ その帰結として、挑戦は減り、若手の創造性が抑え込まれる

こうした流れが積み重なると、組織は静かにこう動き始めます。

● 新しいことに挑戦しなくなる

未来志向よりも、
「過去の延長線で収める」ことが安全策のように扱われる。

● 若手の創造性が抑制される

若手が柔軟な発想を出したくても、
“先回りされた制約”によって芽が出にくくなる。

● 組織はゆるやかに停滞する

経験は貴重だが、
その経験が未来を縛る枠になった瞬間、
変化は起きにくくなる。

(ただしこれは大事件ではなく、
日々の延長戦の積み重ねの中で静かに進む。)

■ 周囲が追随してしまうのは、威圧ではなく「文化の力学」

周囲のメンバーがカンナミ係長に従うのは、
彼が威圧的だからではありません。

  • 経験値の差
  • 年次の差
  • 社内の人脈
  • 「あの人のほうが詳しい」という空気

こうした文化的な力学が
本音よりも追随を優先させる土壌 をつくる。

この構造こそ、
延長戦が長く続く理由なのです。

■ まとめ ——

カンナミ係長は、日本組織に根づく「経験依存型リーダー」の象徴である

カンナミ係長は実在の人物ではなく、
日本の多くの職場に潜む構造を象徴化したキャラクターです。

経験を持つ人が悪いのではありません。
ただ、経験が“未来を狭める枠”に変わったとき、
挑戦や創造性が抑えられてしまう。

この構造に気づけるだけで、
働き方の見え方は大きく変わり、
自分の軸を見失わずに済むはずです。

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